「今から爪切りをするけど、怖くないからね。パパが側にいるから大丈夫だからね。」
爪切りのたび、主人はこう声をかけてからサラを抱きかかえていました。その言葉を聞くと、サラは半分諦めたような顔をしながらも大人しくしています。その間に私が爪を切る。11年間、この形は変わりませんでした。
爪切り・耳掃除・肛門腺絞り。どれも自宅でやる飼い主は少ないと思いますが、我が家はすべて家で完結していました。以下は、何をどう分担していたかの記録です。ただし、動物病院やトリミングサロンに任せ続けるのも普通の選択です。自宅でやることを勧める記事ではありません。
白い爪だったので、血管の先端から2〜3mm離れたところを目安にしていました
迎える前の私は、爪切りを想像するだけで気が重くなっていました。血管を切って出血させたらどうしよう、暴れて怪我をさせたらどうしよう。実際に初めてハサミを構えたときも、切る位置を数秒見つめたまま手が止まり、最初の一回になかなか踏み出せませんでした。
だから最初から役割を分けました。主人がサラを抱きかかえて目を塞いだり、他のことに気を向けさせたりする。その間に私が切る。ひとりで抱えて切っていたら、私はもっと緊張していたはずです。
切る位置は、白い爪だったので血管の先端から2〜3mm離れたところを目安にしていました。白い爪は血管が透けて見えるぶん、目安をつけやすいのです。黒い爪の場合は見えにくく、判断が難しいと聞きます。少しずつ様子を見ながら切り進める、慣れるまでは動物病院やトリミングサロンで教わりながら行う、といった方法もあるようです。
終わったら必ずおやつ。頑張ったご褒美であると同時に、「爪切りのあとには良いことがある」と覚えてもらうための締めくくりでした。
頻度は月1〜2回。ただしシニア期に入ってからは、活発に歩く時間が減ったぶん爪の伸びもゆるやかになり、月1回程度で足りるようになりました。若い頃と同じペースで構えていたら、切りすぎていたかもしれません。散歩中に爪の音がカチカチと響くようになったら切り時、というのも一つの目安です。
これから自宅で切るなら、切る位置を決めるより先に、抱きかかえて声をかける役を家族の誰が担うかを決めるところから始めます。押さえる人がいるかどうかで、一回目に踏み出せるかが変わりました。
耳掃除は私ひとりで月1〜2回、始める前に必ず声をかける
耳掃除は私ひとりで、月1〜2回。始める前には必ず「これから耳掃除をするけど、怖くないからね。大丈夫だからね」と伝えてから始めるのが、私の決まりごとでした。
この言葉を聞いても、サラが大きく嫌がることはほとんどなく、そのまま体を委ねてくれます。いきなり耳に触れるのではなく、まず言葉で伝える。サラのほうも、次に何が起こるかを予測できていたのではないでしょうか。
コーギーは垂れ耳で、耳の中の通気性があまり良くないとされています。サラの場合は特に大きなトラブルもなく月1〜2回で落ち着いていましたが、汚れ具合や耳の状態を見ながら頻度を調整してください。もし耳を触られること自体を苦手にする子なら、いきなり中まで触ろうとせず、外側を撫でるところから慣らす方法もあるようです。
耳を触られるのが苦手そうなら、掃除の回数を決めるのは後にして、外側を撫でながら声をかけるだけの日を何回か作るところから始めます。月1〜2回で続けられたのは、サラが耳を触られても大きく嫌がらなかったからです。
肛門腺絞りは、お風呂のついでに月1回程度
3つの中で、いちばん自宅でやる人が少ないのがこれかもしれません。我が家が始めたきっかけは、動物病院の定期健診で獣医師にやり方を教えてもらったことでした。
私は医療的な処置に比較的抵抗がなく、コツをすぐつかめたので自宅で続けられるようになりました。ただ、これは私の場合の話で、誰にでも簡単にできる処置とは限りません。自宅でやりたい方は、まず動物病院でやり方を教えてもらうところから始めてください。
やっていたのは、お風呂で体を洗う流れの中でした。シャンプーで全身を洗っているついでに、どさくさに紛れて絞ってしまう感覚です。単独の処置として身構えるより、慣れた時間の一部に組み込んだほうが、サラも特別嫌がりませんでした。私にとっても続けやすい方法です。
頻度は月1回程度。ただし毎回のお風呂で絞っていたわけではなく、月1回のタイミングに近いお風呂のときに、その流れで、というのが正確なところです。お尻を床にこすりつける、お尻を頻繁に舐める、お尻周りをしきりに気にする——こういう仕草が見られたときも、そのタイミングで行っていました。
やり方を教わったあとも、単独の予定としてカレンダーに入れるのではなく、次のお風呂の日に寄せるところから始めます。予定を1つ増やさずに済むぶん、続ける負担が軽くなりました。
⚠️ 注意
爪切りは血管を切ってしまうと出血や痛みにつながることがあります。慣れないうちは動物病院やトリミングサロンで教わりながら行ってください。肛門腺絞りも、分泌物の色・におい・量が普段と違うとき、赤みや腫れがあるときは、自己判断で続けず、かかりつけの獣医師にご相談ください。お尻を気にする仕草の背景は個体によって異なることもあります。
効いていたのは声かけ、負担の分散、タイミングの選び方の3つでした
| お手入れ | 頻度 | 担当 |
|---|---|---|
| 爪切り | 月1〜2回(シニア期は月1回) | 主人(抱っこ・声かけ)+私(切る) |
| 耳掃除 | 月1〜2回 | 私ひとり |
| 肛門腺絞り | 月1回程度+サインが出たとき | 私ひとり(お風呂のついでに) |
振り返ると、効いていたのは3つです。始める前に必ず声をかけること。負担を一箇所に集中させないこと。決まった曜日にこだわらず、様子や状況に合わせてタイミングを選ぶこと。この3つがそろっていたから、結果として「手のかからない子」という印象になっていたのでしょう。
📋 自宅ケアを始めるときのチェック
- ☐ 爪切りは月1〜2回。白い爪なら血管から2〜3mm離して切る
- ☐ 散歩中に爪の音がカチカチしてきたら、切り時のサインとして見る
- ☐ 出血が不安なら、慣れるまで動物病院やトリミングサロンで教わる
- ☐ 始める前に必ず声をかける(次に何が起こるか予告する)
- ☐ 抱っこ・声かけ担当と、処置担当を家族で分ける
- ☐ 肛門腺絞りは自己流で始めず、まず動物病院でやり方を教わる
- ☐ お尻をこする・舐めるなどのサインが出たらタイミングを合わせる
- ☐ 赤み・腫れ・普段と違う様子があれば、続けず獣医師に相談する
最初は私も緊張しながら手を動かしていました。それが回数を重ねるうちに、身構えずに淡々とこなせる日常の一コマに変わっていきます。声をかけてから始めることと、役割を分けること。この2つだけでも、次のお手入れで試してみる価値はあります。
順番があるとすれば、①始める前に声をかける ②抱っこ役と処置役を分ける ③終わったらおやつ、の3つです。一度にそろえる必要はありません。次のお手入れで足すのは①だけにして、②と③はその次に回す。この順で足していくほうが、最初から全部そろえようとするより続けやすいはずです。
迎えたばかりの頃の試行錯誤については 迎えた初日の夜、サラは泣き続けた|添い寝で始まった子犬期 をどうぞ。
爪切りと耳掃除を月にどのくらいの間隔でやっていたかは、コーギーのお手入れ頻度 早見表|11年やっていた間隔と所要時間に一覧にしてあります。
この記事について:本記事はトリマーでも獣医師でもない一飼い主が、サラ1頭に対して11年やっていたことの記録で、自宅での処置を推奨するものではありません。爪切り・耳掃除・肛門腺絞りのやり方や頻度が適切かどうかは、かかりつけの獣医師にご確認ください(動物病院を探すときは公益社団法人日本獣医師会のサイトが参考になります)。すべてのコーギーがお手入れに協力的というわけではなく、個体差は大きいはずです。2026年7月時点の記録です。


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