胴長短足のコーギーと、スラリと細長いイタリアングレーハウンド。並ぶと対比が笑えるほどはっきりしている2頭が、1〜2歳の頃のサラの一番の遊び相手でした。犬同士の相性は体型では測れない、と我が家が実感した話です。獣医師でもトレーナーでもない飼い主が、近所の河川敷で毎週見ていた光景をそのまま書きます。
犬見知りゼロのサラに、同い年の親友ができた
サラには、犬見知りというものがほとんどありませんでした。散歩で他の犬とすれ違うと、しっぽを振りながら自分から近づいていく。相手の犬と挨拶を交わすのが日常でした。
私の歩くペースより、いつも一歩先に出ていた
他の犬の姿を見つけると、サラは私より一歩先に出て、相手のところへ向かおうとします。リードが軽く張るくらいの距離感。相手の飼い主さんと目が合ったら、私もご挨拶を返す。それが習慣になっていました。
とはいえ、内心ハラハラしていた時期もあります。相手の犬がフレンドリーとは限りませんし、トラブルになれば犬にも飼い主同士にも気まずさが残ります。それでもサラの姿勢を信じて見守れたのは、相手の飼い主さんと目を合わせて確認する一呼吸を、毎回欠かさなかったからでした。
体型は対極なのに、気が合った
たくさんの犬と挨拶を交わす日々の中で、サラに同い年の友達ができました。近所に住んでいたイタリアングレーハウンドの男の子です。座高も足の長さも、サラとはまったく対極のスマートな体型でした。

最初は普通の挨拶だったはずです。それが気づけば、お互いの姿が見えるとダッシュで駆け寄るほどの仲になっていました。会えばしっぽを思いきり振り合って、すぐ遊びモードに入る。犬同士の相性は、体型や犬種よりも気質のほうが大きいのかもしれない、と思わされた出会いでした。
河川敷のかけっこ|短足のショートカット走法
2頭の遊び場として一番思い出に残っているのが、家の近くの河川敷です。広く開けた空間で、2頭のお気に入りの場所でした。
河川敷に着くと、お互いの存在を確認し合って、すぐにじゃれ合いながら走り始めます。最初は軽い小走り、そこから本気のかけっこへ。リードは最後まで外していません。それでも、二頭が思いきり走れるだけの広さがありました。コーギーを迎える前から、散歩できる環境を物件選びの絶対条件にしていたのですが、その延長で手に入れた住環境が、結果としてサラの親友との時間を支えていたわけです。
直線では勝てないと、サラも分かっていた
イタリアングレーハウンドは、もともと速く走るために育てられてきた犬種だと聞きました。実際、まっすぐ走ればサラはまったく追いつけません。ところがサラは、相手の進行方向を読んで、内側を上手にショートカットして走るのが得意でした。スピードでは負けていても、コース取りで遊びを成立させていたのです。
あの走り方は、飼い主が教えたものではありません。直線勝負では勝てないと分かったうえで、自分の体型でできる遊び方を、犬同士のやり取りの中で自分で見つけた。走っているサラを見ながら、犬は賢いなと素直に思いました。
帰る時間になっても、離れたがらなかった
2頭が遊び始めると、予定していた1時間の散歩はあっという間に終わります。河川敷に着いてから帰路につくまでが、倍速で進んでいく感覚でした。
困るのは、そろそろ帰ろうという時間です。リードを軽く引いても、2頭とも「もっと遊ぶ、まだ離れたくない」と言わんばかりに、お互いの周りを離れません。飼い主の言葉が、まったく耳に入っていない時間帯です。
正直、帰宅後の家事や仕事の段取りを考えて、心の中で少し焦っていたこともありました。それでも2頭の表情を見ていると、強引に引き離すことはどうしてもできません。サラの時間を大切にしたい、と迎える前から思っていたつもりでしたが、その気持ちは現実の場面で何度も上書きされました。
結局うまくいったやり方は、お互いの飼い主が同じタイミングで「そろそろ帰ろう」と声をかけることでした。一方だけが先に帰ろうとすると、残されたほうが余計に粘ってしまうのです。飼い主同士の間では、いつしか「この2人は犬種を超えた親友だね」というのが合言葉になっていました。
コーギー専門誌の取材日に、親友が現れた
2頭の友情を象徴する、忘れられない日があります。サラがコーギー専門誌に取り上げられたときの、取材当日のことです。
取材中でも、友情モードは止まらなかった
その日は、取材に来てくださった方の前で、いつも通りの散歩風景を見ていただく流れでした。緊張していたのは、おそらく私だけです。サラは普段通りの足取りでマイペースに歩いていました。
散歩を進めていくと、ばったり、いつものイタリアングレーハウンドに出会いました。2頭とも取材の事情など知りません。お互いの姿を確認するなり、いつも通り嬉しそうに駆け寄って、自然と遊び始めてしまいました。
内心「どうしよう、取材中なのに」と慌てていました。それと同時に、サラがいつもの自分のままでいてくれることに、どこかホッとしてもいたのです。慌てる気持ちと嬉しい気持ちが、同じ数分間に同居していました。
コーギー誌に、イタグレの写真も載った
取材に来られた方は、2頭の遊ぶ姿にはっきり驚いていました。胴長短足のコーギーと、長身のイタグレ。見た目は対極なのに、心から打ち解けて遊んでいる。「こんなに仲のいいコンビは珍しいですね」と、何度か言われたのを覚えています。
後日、記事が掲載されたとき、本来コーギーを取り上げるはずの誌面に、親友であるイタリアングレーハウンドの写真も一緒に載せていただきました。コーギー専門誌に他犬種が並ぶのは、編集する側としても珍しい判断だったはずです。2頭の友情そのものが記事に残ったことが、今も嬉しく思い出されます。
一番元気に走れた時期に、思いきり遊べた
1〜2歳。サラの生涯で一番元気に走れた時期に、犬種を超えた親友と心ゆくまで遊べる時間を作れたことは、今振り返っても本当に良かったと思っています。あのときの選択でひとつだけ効いていたのは、リードを付けたままでも走れる広さの場所が、家の近くにあったことでした。相性のいい相手との出会いは運まかせですが、そういう場所が近くにあるかどうかは、住む場所を決める段階で確かめられます。これから迎える方には、そこだけは伝えておきたいところです。

めるる
スピードでは敵わないと分かったうえで、内側を回り込んでいったサラの走り方。あれが今でも、私の中で一番幸せな散歩の風景です。
河川敷の草の上を、短い足で必死にショートカットしていく後ろ姿。あの2頭が並んで走る絵を、私はまだはっきり思い出せます。
※多くの自治体では条例で犬の係留(リード装着)が義務づけられており、河川敷や公園でリードを外すことは違反になる場合があります。お住まいの自治体のルールを必ずご確認ください。また、体格差の大きい犬同士は勢い余って転倒することもあるため、周囲に他の通行人や犬がいないかを常に意識し、お互いの飼い主がいつでも声をかけて止められる距離で見守ることをおすすめします。感染症リスクなど健康面の個別判断は、かかりつけの獣医師にご相談ください(参考:公益社団法人日本獣医師会)。2026年7月時点の我が家の記録です。
▶ 迎える前にどんな準備をしていたかは 子犬を迎える前にやった3つの準備 に書いています。


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