サラの食いしん坊エピソード|一本の大根を丸かじり事件

サラの食いしん坊エピソード|一本の大根を丸かじり事件 コーギーあるある

買い物から帰ってリビングに入ったら、大根が一本、床に転がっていました。半分ほどなくなっていて、サラはその横で、いつもよりちょっと得意げな顔で伏せていました。サラが2〜3歳の頃の話です。獣医師でも栄養士でもない飼い主が、あの日のことと、それから変えたことを書きます。

台所に立つと、必ず足元に来る犬だった

サラは11年の生涯を通じて、本当に食いしん坊でした。朝夕の食事の時間が近づくと、台所に立つ私の足元にやって来て、期待のこもった目でじっと見上げてくる。それが日課です。

ささ身を茹でる小鍋の音を、覚えていた

ごはんの気配を察知する能力は抜群でした。台所で何かを準備し始めると、リビングからのっそり起き上がって歩いてきて、足元に伏せます。冷蔵庫を開ける音、まな板を取り出す音、フードの袋を引き寄せる音。そのどれもが、サラにとっては合図でした。

普段のフードは吉岡油糧でサラの体重とアレルギーに合わせて作ってもらったオリジナルフードで、そこに湯がいた鶏のささ身を細かく割いてトッピングしていました。何をどれくらい足すかは、そのつど動物病院で確認したうえで決めています。玉ねぎ・チョコレート・ぶどうのように犬に与えてはいけない食材はよく知られていますが、それ以外の食材でも、量や調理法やその子の体質で反応は変わります。だから我が家では「良さそうだから足す」はしませんでした。

ささ身を茹でるために小鍋を取り出した瞬間、サラの目はもう輝いています。湯気が立って香りが広がる頃には、足元に座って尻尾を小さく振っている。私がフォークでささ身を割き始めると、目は私の手元に釘付けでした。動作とにおいの組み合わせで、自分のごはんが進んでいると分かっているのです。あの数分間は、毎回見ていて少し笑ってしまうくらい楽しそうでした。

「もう一口」の目線に、主人と二人で耐えた

「もう一口ちょうだい」と足元から目で訴えてくるサラ
「もう一口ちょうだい」と足元から目で訴えてくるサラ

サラは目でおねだりするのが上手な子でした。食器が空になった後も、私の目をじっと見つめて訴えてくる。耳をちょっと後ろに倒して、首をかしげるような姿勢で、こちらが折れるのを待つのです。あの目線に何度負けそうになったか分かりません。

だから我が家では「心を鬼にする」が合言葉になりました。主人がリビングのほうから「もう一口ちょうだいって顔してる」と声をかけてくることがあって、そのたびに相談して「あげない」と決め直す。一人だと折れてしまう場面でも、二人で確認し合えば維持できました。家族の中で誰か一人だけ甘くなると、犬は「あの人に頼めばもらえる」と覚えます。方針を揃えておいたことが、結果的にサラの体を守っていたのだと思います。

サラの体重は、10キロ未満を目安にしていた

食いしん坊な犬と暮らすうえで、常に意識していたのが体重でした。胴が長くて足が短いぶん太ると腰にこたえる、というのは迎える前から本や情報で繰り返し読んでいたことで、動物病院でも同じことを言われました。腰にどこまで負担がかかるかは体格や骨格によって違うので、そこは通いながら見てもらうしかありません。

サラは女の子だったので、我が家では体重10キロ未満を目安に、日々のフード量と運動量を組み立てていました。これはかかりつけの獣医師と相談しながら決めた、サラ個人の目安値です。廊下とリビングにタイルカーペットを敷き詰めたのも、滑りやすい床を避けて足腰の負担を減らすためでしたが、それと並行して食事の側からも腰を守る、という発想を早い段階で持つようにしていました。

トッピングを足した分、フードを引いた

ささ身を多めにあげた日は、夕食のフードを少し控える。おやつをあげた日は、翌日の量を見直す。地味ですが、この差し引きの積み重ねが、10キロ未満を保つための実務でした。量を増やさずに満足感を作る工夫——トッピングの入れ方や食器の置き方——のほうに手をかけたほうが、結果としてうまくいきました。

買い物から帰ったら、大根が半分なくなっていた

それだけ気を配っていた我が家で、予想外の食いしん坊ぶりが事件として現れたのが2〜3歳の頃です。

その日、買い物から戻ってリビングに入った瞬間、見慣れない光景に気づきました。キッチン台に置いていた大根が一本、床に転がっている。しかも丸ごと一本の半分ほどが、かじられていました。サラはリビングのど真ん中で、いつもよりちょっと得意げな顔で伏せています。思わず「えっ」と固まりました。頭の中が真っ白になって、何が起きたのか理解するのに数秒かかったのを、今でもよく覚えています。

叱るより先に、お腹を触った

最初によぎったのは「叱らなきゃ」ではなく「体は大丈夫か」でした。あれだけ食事量に気を配っていたところに、いきなり大根半分がお腹に入ったかもしれない。それが怖かったのです。顔をのぞき込み、お腹を触り、息づかいを確認して、いつもと違う様子がないかを必死に見ました。

今にして思えば、この時点ですぐ獣医師に連絡すべき場面です。サラは幸い何ともありませんでしたが、それは結果論でしかありません。実際に私がしたのは、異変がないと確認したあとで、かじられた量をなるべく正確に見積もり、その日の夕食のフード量を大きく減らすことでした。ただしこれは、食べたものが大根で、量が把握できて、体調に変化がなかったという条件が全部そろっていたから成立した対応です。何を食べたか分からない、量が分からない、少しでも様子がおかしい——どれかひとつでも当てはまるなら、家で調整して様子を見るのではなく、先に動物病院へ連絡してください。

その日から、キッチンの「届く場所」を見直した

この事件をきっかけに、留守番させるときは食材を絶対にサラの届く場所に置かない、というルールを徹底しました。キッチン台の上であっても、転がれば床に落ちるものは冷蔵庫か扉付きの戸棚へ。野菜カゴを台の上に置きっぱなしにしない。ゴミ箱は蓋付きに。地味な見直しを一つずつ積み上げていきました。

コーギーは胴長で足は短いですが、立ち上がってカウンターに前足をかけられる子もいます。犬の目線でもう一度部屋を見る、というのは、迎える前の準備段階ではどうしても抜け落ちる視点でした。我が家は住環境の準備に1年以上かけていたのに、キッチンまわりの安全設計だけは、暮らし始めてから現実と一緒に組み立て直すことになったわけです。これから迎える方には、床の高さだけでなく「立ち上がったときの高さ」で一度部屋を見てみることをおすすめします。

めるる
めるる

あの得意げな顔を思い出すと、今でもくすっと笑ってしまいます。冷や汗をかいた日でしたが、キッチンを見直すきっかけをくれたのはサラでした。

「もう一口ちょうだい」の目線には、11年間ずっと負けませんでした。大根一本にだけ、完敗しました。

※この記事は我が家のサラ1頭についての体験記録で、特定の体重目標や食材を推奨・保証するものではありません。本文の「10キロ未満」は獣医師と相談して決めたサラ個人の目安値であり、適正体重は性別・年齢・体格・骨格によって個別に異なります。また、本文に出てくるささ身をはじめ、人間用の食材の安全性は犬種・年齢・体質・既往歴によって変わるため、与える前に必ずかかりつけの獣医師にご確認ください。誤食が疑われるときの対応も同様です。夜間・休日に対応してくれる救急動物病院の連絡先を、普段から控えておくことをおすすめします(参考:公益社団法人日本獣医師会)。2026年7月時点の記録です。

▶ サラのオリジナルフードの話は 留守番中のコーギーに年中エアコン と同じ「留守番中の備え」の系列です。あわせてどうぞ。

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