散歩中に他の犬を見つけると自分から挨拶に行く。初めての場所も物怖じしない。そんなサラが、たった2つだけ苦手にしていたものがあります。雷と、花火の音です。避けようがない相手なので、我が家は「怖がらせない」ではなく「怖い時間をどう過ごすか」で考えるようになりました。11年でたどり着いた3つの対応を書きます。
✅ この記事でわかること
- 雷は「遠くでゴロゴロ」の段階でもう始まっていた、というサイン
- 対応①|避難先は、その日に作らず普段から用意しておく
- 対応②|光と音を物理的に減らす環境調整
- 対応③|飼い主が過度に構わない(最初はこれで失敗しました)
「遠くでゴロゴロ」で、もう始まっている
サラが落ち着きをなくすのは、真上で鳴る本格的な雷のときだけではありませんでした。まだ遠くでゴロゴロと鳴り始めた段階で、もうそわそわしています。耳をぴくぴく動かして、リビングを行ったり来たりして、私のそばに近づいてはまた少し離れる。窓の外を見るでも、どこかに隠れるでもなく、家の中で居場所を探しているような様子でした。
気になって気象情報を確認してみると、確かに遠くで雷雲が発生しているタイミングで、サラの落ち着きのなさが始まっていることが何度かありました。人間が「まだ大丈夫」と思っている瞬間には、サラにとってもう不安が始まっている。犬には犬の感覚がある、と受け止め直すきっかけになりました。
花火の日も同じでした。光はカーテン越しにチカチカ届く程度ですが、音が大きく響くぶん、サラの中では雷とほぼ同じカテゴリだったのだと思います。
⚠️ 注意
音への反応には個体差があります。震えが何時間も止まらない、食欲や水分摂取が長時間ない、トイレを我慢し続ける、自傷につながりそうな様子があるなど、状態が重い場合は自己判断で様子を見続けず、かかりつけの獣医師にご相談ください。以下は我が家のサラ1頭の場合の対応です。
対応①|避難先は、その日に作らない
ここから先はドッグトレーナーの手法ではなく、我が家が11年やってみて残ったやり方です。3つの中で一番大事だったのがこれです。怖がる日に急ごしらえで居場所を作っても、犬が「ここは安心な場所だ」と認識するには時間がかかります。新しい場所は、犬にとっては「未知」でもあるからです。
我が家には、子犬を迎える前から用意していた3つの居場所がありました。主人の仕事部屋のベッドスペース、リビング半分の仕切りスペース、そして室内に置いた慣れたクレートです。雷や花火の音が大きくなると、サラはそのときの音量や気分に合わせて、この3つのどこかに身を寄せていました。決まった順番はなく、その日ごとに選ぶ場所が違ったのも、サラなりの選択だったのだと思います。
日常の延長線上に避難先がある状態を、時間をかけて作っておく。それだけで、いざというときに機能してくれます。
対応②|光と音を、物理的に減らす
まず「いつ来そうか」を先に知っておくことでした。雷が発生しやすい時期は天気予報の雷情報をこまめに確認し、花火大会の日程も自治体の広報で前もって調べておく。「今夜は来るかもしれない」という心構えがあるだけで、家の運用も自分の心の準備も整います。
雷雨の予報が出た日は、散歩の時間そのものをずらしました。早朝に短く済ませる、夕方の予定を昼前に前倒しする、といった調整です。雨の日も風の日も散歩は欠かしませんでしたが、雷の日だけは別。屋外で雷に遭遇するのは人にも犬にも危険だからです。
家の中では、窓とカーテンを閉めます。雷の光は予告なくピカッと差し込むので、不意打ちの刺激になりやすい。カーテン1枚でそのインパクトはだいぶ和らぎますし、窓を閉めれば音のボリュームも一段下がります。
それでも音は消えません。そこでテレビや音楽を普段より少し大きめにかけていました。雷鳴を打ち消すというより、いつもの生活音で外の音を相対的に小さく感じさせるイメージです。ただし上げすぎると、それ自体が新しいストレスになります。家族が普段聞いている音量より少し上げる程度が目安でした。
対応③|過度に構わない(最初は失敗しました)
最初から自信を持ってこの対応を取れたわけではありません。むしろ逆でした。サラが震えていると「何か声をかけてあげなきゃ」「抱っこしてあげなきゃ」と思って、つい体を引き寄せようとしていたのです。
断っておくと、これは判断が分かれるテーマです。強い不安を見せる犬には、軽く体に触れる接触が安心につながるケースもあると言われています。ただ我が家の場合は、そのたびにサラが余計にそわそわする瞬間がありました。もしかして、私の心配そうな雰囲気そのものが伝わってしまっているのかもしれない——そう気づいてから、自分の動作と声色を意識的にいつも通りに保つことを、雷や花火の日のひそかな目標にしました。
やっていたのは、ソファで本を読む、テレビを見る、家事をする——普段通りの行動を淡々と続けることです。飼い主が普段通りなら、家の空気そのものが「特別な事態ではない」と伝わるのではないか、と考えていました。震えたり隠れたりしても叱らず、「怖いんだね」「うん、大きな音だもんね」と短く受け止めて、それ以上の反応は控える。寄り添ってきたときも強く抱きしめず、手で軽く背中に触れる程度。「ここにいるよ」が伝わる最小限の距離感です。
そして、雷や花火が過ぎたら、いつも通りの生活リズムに戻します。「今日は大変だったから特別に」という過剰な扱いはしません。怖い時間が終わったあとも特別対応が続くと、「雷の日は何か特別な日」という記憶のほうが強くなってしまう気がしたからです。いつもの食事、いつもの散歩、いつもの寝る時間に戻る。それで、雷の時間が日常の中の一場面として片づいていきます。
📋 雷・花火の日のセルフチェック
- ☐ 天気予報の雷情報と、花火大会の日程を事前に確認している
- ☐ 普段から自由に使える静かな避難場所が、家の中にある
- ☐ 慣れた寝具やおもちゃが、その避難場所の近くにある
- ☐ 雷雨の予報が出たら、散歩の時間をずらす判断ができる
- ☐ 窓とカーテンを閉めて、光と音を物理的に遮っている
- ☐ テレビや音楽は「普段より少し大きめ」まで(上げすぎない)
- ☐ 過度に構わず、自分の行動をいつも通りに保てている
- ☐ 寄り添ってきたら、強く抱きしめず、そっとそばにいられる
- ☐ 怖い時間が過ぎたら、特別扱いせず普段のリズムに戻せる
- ☐ 状態が重いときに相談できる、かかりつけの獣医師がいる
雷の夜に、主人の仕事部屋のベッドへそっと身を寄せていたサラの姿は、今でも鮮明に思い出せます。普段は物怖じしないサラにも、こんなに繊細な一面があるのだと教えてもらった時間でした。避けられない相手だからこそ、環境と態度の2つで支える。それが11年で行き着いた答えです。
最後に一点だけ。音への過剰な反応や、状態が重い場合の個別の判断は、かかりつけの獣医師にご相談ください。雷の発生情報や注意警報は気象庁のウェブサイトで確認できます。2026年7月時点の記録です。
留守番中の環境づくりについては、留守番中のコーギーに年中エアコン|共働き家庭の電気代と熱中症対策もあわせてどうぞ。


コメント